原田年晴 かぶりつきサーズデー!フライデー!
「展覧会へ行こう」
第1回(放送日:2024年5月2日)
「シン・東洋陶磁 MOCOコレクション」
#ラジオ大阪連動企画
原田年晴が東洋陶磁美術館へ突撃!
学芸課長代理の小林さんに見どころを伺いました
「原田年晴 かぶりつきサーズデー!フライデー!」
(木曜・金曜 午後2:00~午後4:55)
パーソナリティ:
ラジオ大阪アナウンサー 原田年晴
身近な話題から旬の情報まで、鉄道大好き&旅大好きな原田年晴がお届けする「かぶりつき」で聴いてほしい175分の生放送。新しくスタートした特別企画「展覧会へ行こう」では、原田年晴が美術館ビギナーさんにもわかりやすく見どころを紹介しています。週末はアクティブな気分で、美術館に出かけてみませんか?
美術館の「顔」ともいえるエントランスホールが大変身!
増築されて、ガラス張りのオシャレな空間に
原田
こちらの建物は、この4月にリニューアルオープンしたそうですが、どこがどう変わったか教えていただけますか。
小林
まず、建物で言うとエントランスホールが非常に大きくなりました。
元々の外壁を取り込むようにして、高さ7メートルのガラスに囲まれたエントランスを設置したことで、中之島公園や中央公会堂など目の前に広がるロケーションとの一体感を感じていただけます。
エントランスの隣には、同じくガラス張りのカフェもオープンさせました。
原田
いいですねぇ。ものすごくオシャレでお客さんもいっぱい。すごい人気です!
さあ、作品のお話もお伺いしていこうと思いますが、こちらではどんな作品が収蔵されているのでしょうか。
小林
当館は1982年に開館しまして、今年でちょうど42年。戦後の10大商社の一つに数えられた安宅産業株式会社がコレクションした中国・韓国陶磁を中心に展示しています。
所蔵品は当初1,000件ほどだったのが、今では6,000件近くに増えました。令和6年9月29日までは、リニューアルオープン記念特別展として、国宝2件、重要文化財13件を含む当館のベスト・オブ・ベスト約380件をご覧いただけます。
「秋の晴れた日の午前10時ごろの光」とは!?
最高の状態でやきものの色や質感を鑑賞できるライティング
原田
それでは早速、展示スペースである本館へまいりましょう。
こちらは今回のリニューアルで、どのように変わったのでしょうか?
小林
はい、こちらは展示環境にかなり力を入れてリニューアルしています。
大きな点としては、照明を新しいものに一新しました。光はやきものを見るうえで一番大切な要素。当館は、自然光を取り入れた「自然採光展示」で世界的に知られていますが、LEDもできるだけ自然光に近く、陶磁器本来の魅力が引き出せる「紫」励起LED 照明を導入しました。
やきものが本来もっている色合いや質感を、今まで以上に感じていただけると思います。
まるで茶碗の中の宇宙!スポット照明で斑紋や虹色の光彩が星々のようにきらめく
小林
こちらは国宝の「油滴天目茶碗」。
透明度の高い透過ガラスを使用した専用の独立展示ケースを導入しました。
「紫」励起LED によるベース照明と、茶碗の内面を浮かび上がらせるスポット照明、さらに下にミラーを敷いて光を反射させて、宇宙にもたとえられるお茶碗の本当の魅力を引き出しているんです。
原田
光によって輝いているなとわかりますね。ここだけ、ふわっと浮かび上がっているようです!
自分が動くと光の角度が変わり、青の色味や輝きが変わって見えるのも面白いですね。
原田
見る目というのが、光でこんなに変わってくるとは驚きました。
部分的には自然光を取り入れているところもあるとお伺いしましたが。
小林
はい。それが世界初の「自然採光展示室」で、ここで見る中国の青磁は格別。季節によって、時間によって、表情が変わっていく様子を楽しんでいただくことができます。
古来、青磁を見るには、「秋の晴れた日の午前10時ごろ、北向きの部屋で障子一枚へだてたほどの日の光で」と言われていますが、当館の自然採光展示は、まさにその環境を再現しているんですよ。
原田
なるほど〜!光というのは、すごい力をもっているんですね。
1ミリ単位のディスプレイへのこだわりが、
見る人の感動を呼び起こす
原田
作品の見せ方にはどのようなこだわりを持っていらっしゃいますか。
小林
開館以来からの伝統がありまして、我々はよく「1ミリ単位のディスプレイ」と呼んでいます。たとえば、作品の正面を決めるとき、あるいは、作品同士の間隔を決めるときには、まさに1ミリ単位での調整を行います。人間の目で見たときに、一番自然に心地よく感じる位置や距離を追求して並べていくのですが、ずっとやっていると微妙な違いでも違和感に気づくようになるんです。そこがピシッと合うことで、全体の調和や空気感が生まれるわけですね。
小林
また、いいものはいいものと合わせて並べる、力のあるものは大きな空間に並べるなど、それぞれの作品に応じた並べ方をしています。天井の高さも実は微妙に変えたりしているんですよ。
ご来館された方がよく、「やきものもよかったけれど、そこに感動があった」と言ってくださるのですが、いいものを単に見るだけではなく、空間も含めて心を揺り動かす展示をしていきたいと思っています。
原田もビックリ!鑑賞を第一に考えたオリジナルの仕掛け
小林
作品をのせている敷板部分が免震台になっており、地震の時には前後左右に動いて作品を守ります。
手ぐすで固定する必要がないので、見た目もすっきり。鑑賞のさまたげになりません。
小林
このひじ置き台も当館で開発したものです。こうひじをついて、一番近い位置で作品を鑑賞できます。
じっくり見るのもいいですし、メモを取るのもいいですし、結構便利なんです。
小林
展示台の表面に使用しているクロスも実はお化粧直しをしました。
このクロスは海外の輸入素材を日本で染め直したもので、やきものが一番ニュートラルに見える色にしているんですよ。
名品を鑑賞するのにふさわしい環境づくりから、
原田も大興奮した体験型デジタルコンテンツまで。見て、触れて、大感動できた1日でした!
原田
光、1ミリ単位のディスプレイ、展示の仕方、あらゆるものが総合的に組み合わさって、鑑賞するための最高の状態をつくり上げている東洋陶磁美術館。そのどれか一つ欠けても、感動は生まれないのだろうということがひしひしと実感できました。
なかでも、私が一番感動したのが国宝の「油滴天目茶碗」をリアルに再現した超高精度3Dレプリカ。茶碗型のハンズオンコントローラーになっていて、これを動かすと4Kモニターに投影される高精細3DCGを360度好きな角度から鑑賞できるんです。展示ではなかなか底まで見ることはできませんが、これは左右、表裏、さまざまな角度から、さまざまなライティングで鑑賞でき、現物を見るよりもよく見ることができました。光の加減で見え方が違うということもよくわかったので、ぜひみなさんに体感してほしいですね!
原田年晴チェック1
収蔵品モチーフのドリンクや
スイーツは必食!
国宝の「飛青磁花生」をモチーフにした抹茶ラテなど、陶磁器そっくりのドリンクやスイーツにビックリ!
これが本当によくできていて感心しました。
目の前には中之島の公会堂があり、ザ・大阪という景色を眺めながらお茶ができるなんて、こんな幸せなことはないですね。
カフェメニュー イメージ図
カフェ イメージ図
SHOP DATA
café KITONARI
9:30〜17:00(LO16:30)※カフェのみのご利用も可能です
原田年晴チェック2
ミュージアムグッズを買って思い出を持ち帰ろう
ポストカードをはじめ、日常使いできるTシャツやバッジなど、収蔵品をモチーフにしたオリジナルグッズがずらりと並んでいました。
本物を鑑賞した後に、気に入ったものをグッズとして持ち帰れるのがいいですね。美術館での感動が、きっと家でもよみがえってきますよ!
シン・東洋陶磁―MOCOコレクション
会期2024年4月12日(金)〜9月29日(日)
ART MUSEUM DATA
大阪市立東洋陶磁美術館
約2年にわたる改修工事を終え、2024年4月にリニューアルオープン。世界的に有名な「安宅コレクション」の中国・韓国陶磁を中心に、世界第一級の質と量を誇る東洋陶磁のコレクションに出合えます。