原田年晴 かぶりつきサーズデー!フライデー!
「展覧会へ行こう」
第3回(放送日:2024年7月18日)
「開創1150年記念 醍醐寺 国宝展」
#ラジオ大阪連動企画
大阪・中之島にパワースポット出現!
原田年晴がめくるめく仏像世界へ
京都の名刹・醍醐寺の開創1150年を記念し、大阪中之島美術館で展覧会を開催中。醍醐寺のありがた〜い寺宝を大阪でこれだけ大規模に拝めるのは、今回が初!とのことで、原田年晴が早速行ってきました。学芸員の北廣麻貴さんから伺った展覧会の見どころをたっぷりご紹介します。
「原田年晴 かぶりつきサーズデー!フライデー!」
(木曜・金曜 午後2:00~午後4:55)
パーソナリティ:
ラジオ大阪アナウンサー 原田年晴
身近な話題から旬の情報まで、鉄道大好き&旅大好きな原田年晴がお届けする「かぶりつき」で聴いてほしい175分の生放送。新しくスタートした特別企画「展覧会へ行こう」では、原田年晴が美術館ビギナーさんにもわかりやすく見どころを紹介しています。週末はアクティブな気分で、美術館に出かけてみませんか?
準備期間に30年!
水都・大阪に誕生したアート空間
原田
まずは、大阪中之島美術館について教えていただきたいのですが、こちらはどれくらい前に建ったんですか?
北廣
こちらは構想からは約40年となります。準備室がたてられてからは30年です。実に30年以上の準備期間を経て、2022年2月に開館した美術館です。
5階建ての建物は黒くて四角いのが特徴で、外観にびっくりされる方が多いですね。
4階と5階は展覧会場になっていて、それぞれ違うものが開催されています。また、誰もが気軽に行き来できる場を目指し、1階と2階のパッサージュは出入り自由。ひと休憩にぴったりなオリジナルベンチや、デンマーク発のインテリアショップなどもあるんですよ。
原田
クーラーも効いていて、ちょっと涼みによるのにももってこいですね!
中に入ると吹き抜けの巨大な空間が広がっていて、本当にええ雰囲気です。
今回の展覧会は4階で開催されていて、長〜いエスカレーターを昇っていくんですが、これがなんだか異空間に入っていくような印象を受けました。
北廣
当館のエスカレーターは2階から4階をダイナミックに貫いていて、上りと下りがクロスしているんです。
エスカレーターに乗っている間、いろいろな位置から建築を見て楽しんでください。
国宝14件、重要文化財47件を一挙公開!
原田
さて、いよいよ展示室に入っていきます。
「開創1150年記念 醍醐寺 国宝展」というタイトルですが、どういった展覧会なんでしょうか。
北廣
醍醐寺の開創1150年を記念して、厳選した国宝14件、重要文化財47件を含む約90件の名宝を一挙公開しています。
大阪で醍醐寺の展覧会が開催されたことは過去にもありましたが、これだけの数が一堂に公開されるのは初めて。
近現代美術を収蔵している当館でお寺の展覧会をするというのは異例なことではありますが、普段お寺で見るのとはまた違った見え方を楽しめると思います。
仏像をあまり見たことがないという方も、仏像には興味があるけれど当館にはなかなか来る機会がなかったという方も、ぜひご注目ください。
北廣さん、仏像の楽しみ方を教えて!
原田
「仏像のお顔がキレイだな」「眼光が鋭いな」など、いろいろな見方があると思いますが、どんな風に仏像を見たらいいんでしょう?
北廣
普段、お寺で仏像を見るときは正面からしか見られませんが、今回の展覧会では360度ぐるっと回って見ていただける展示にしています。
原田
ということは、仏像の後ろ側を見ることができるんですね!
それはお寺では見られませんから貴重ですね。
北廣
いろいろな角度から見ていただけるので、「この角度が好きだな」「横から見たらこんなお顔をされてるんだな」など、自分の好きなポイントを見つけてもらえると思います。
- POINT②
- 仏像の魅力を引き出すライティングにも注目
北廣
立体的な仏像のライティングは平面の絵画よりも難しいのですが、今回は監修の先生に入っていただいて、360度美しく見えるライティングを実現しました。当てる角度によって表情がガラリと変わってしまうので、キレイな影の出し方や、仏像のよさがしっかり伝わる照明の当て方を追求しています。
「こんな表情なんだ」「こんな風に彫られているのか」と、ぜひ細かいところまで鑑賞してください。
原田
なるほど。お堂の中は暗いことが多いですから、明らかに違いがわかりそうですね。
実際に拝見するのが楽しみです!
じっくり鑑賞したい
おすすめの仏像3連発!!
原田
すばらしい寺宝がズラリと並んでいるわけですが、そのなかでも特に見てほしい!という仏像を教えていただけますか。
北廣
まずは、展示室に入ってすぐの場所にある重要文化財《大威徳明王像(上醍醐五大堂五大明王像のうち)》です。元々は、10世紀初めに建てられた五大堂で祀られていましたが、幾度かの火災に遭い、お堂は焼失してしまったんです。しかし、この像だけは奇跡的に残り、創建時のままのお姿を見ることができるんですよ。
原田
そんな強運の仏像を360度、しかもショーケースに入っていないので、間近でしっかり見ることができるんですね! 後ろの方に回り込むと、仏像が乗っている牛のお尻が見られます。丸みがあって、なんだかかわいらしいですね。
北廣
そうなんです!こんなかわいらしさに気づけるのも360度見られる当館ならでは。
また、国宝《薬師如来光背小七仏薬師像》もじっくり見ていただきたい仏像のひとつ。薬師如来坐像の後光を表現した「光背(こうはい)」に付属している小さな仏様で、今回は6体あるうちの4体をお借りしています。ご本尊は180cmくらいの大きさがあり、実際はその上にこの4体が乗っているんです。
原田
ずいぶん小さな仏様なので、醍醐寺で見るとなると、表情までこんなにじっくり見るのは難しいでしょうね。
ひとつひとつお顔が違うのですが、穏やかで愛らしい表情は見ていて飽きません。
北廣
本展パンフレットの表紙にも載っている重要文化財《如意輪観音坐像》のお顔もふっくらしていて、とてもかわいらしいですよ。目を瞑っているように見えますが、実はよく見ると伏し目の状態なんです。
ちょっと角度を変えて、下から覗き込んでみてください。
原田
あっ、たしかに細く目を開けていますね!下から見上げると私たちを見ているようにも見えます。
なんともユニークですね〜。
北廣
こんな風に伏し目で下を向いて私たちを見守ってくださっているので、下から見ると目が合うと言われているんですよ。
大阪といえば豊臣秀吉!
秀吉ゆかりの品々も多数展示
原田
北廣
重要文化財の曼荼羅図もズラリと見ることができますし、後半の展示室では醍醐寺とゆかりの深い豊臣秀吉にまつわる作品も展示しています。秀吉が「醍醐の花見」という豪華絢爛なお花見を催したのは有名な話ですが、それに関連したものを展示していまして、ちょっとしたお花見気分を味わっていただけますよ。
原田
秀吉の肖像画があり、その前にはキラキラと輝く金のお茶碗が!
迫力のある屏風絵や桜の絵などもあって華やかですね〜。
スペシャルコラボ!
桜ミク(初音ミク)が舞うAR展示
北廣
展示室と展示室の間のロビーでは特別企画として、バーチャルシンガーとして有名な初音ミクさんとのスペシャルコラボを行なっております。桜ミクと醍醐寺の枝垂れ桜がAR(拡張現実)で現れ、桜ミクが「千本桜」の音楽と共に舞い踊る様子を撮影していただけますよ。
原田
曲もかかるし、桜の雰囲気も楽しめるなんて斬新ですね!
ショップではコラボグッズも販売されているそうなので、そちらも要チェックですね。
鑑賞しやすさを追求した美術館ならではの心遣いがうれしい!
仏教ビギナーさんこそ行ってみて
原田
仏様の顔というのは本当にさまざまで、その表情を見るというのが面白かったですね。
360度いろんな角度から見てみると、同じ仏像でもお寺と美術館では見え方が違うんだということがよくわかりました。照明の角度まで考えて見やすいように展示されているので、美術館で鑑賞するのが絶対おすすめです!
原田年晴チェック1
ご祈祷済みでご利益あり!?
曼荼羅ノート
醍醐寺展の最後のお部屋が特設ショップになっていました。ステッカーやTシャツなどのオリジナルグッズがズラリ!
そのなかで特に気になったのが、大谷翔平選手が高校生のときに書いていた曼荼羅チャートに着想を得たという「曼荼羅ノート」です。
私なら「お酒をやめる」と書きたいところですが、まだまだ実現は難しいかも…(笑)。
原田年晴チェック2
インパクト抜群!
美の蔵を守るシップス・キャット
美術館前の広場でひときわ存在感を放っていたのが、ヤノベケンジさん作「シップス・キャット(ミューズ)」。
大航海時代に害獣から貨物や船を守った「船乗り猫」のように、大阪中之島美術館の守り神として鎮座していました。
ビビッドな朱色のスーツを着た猫の顔がリアルで、すごいインパクトがありました。待ち合わせの目印にもぴったりです!
開創1150年記念 醍醐寺 国宝展
会期前期:2024年6月15日(土)〜7月21日(日)
後期:2024年7月24日(水)〜8月25日(日)
ART MUSEUM DATA
大阪中之島美術館
19世紀後半から現代に至る国内外の美術とデザインを核としながら、地元大阪で繰り広げられた豊かな芸術活動にも目を向け、6000点を超えるコレクションを収集。とりわけ佐伯祐三の名作、モディリアーニの裸婦像、具体美術協会のリーダー・吉原治良の作品、海外作家の代表作などは、国内外で高く評価されています。