原田年晴 かぶりつきサーズデー!フライデー!
「展覧会へ行こう」
第4回(放送日:2024年8月15日)
「生誕100年記念 小泉淳作展」と「ZEN NIGHT WALK KYOTO」
#ラジオ大阪連動企画
展覧会と特別イベントのW開催
京都最古の禅寺がアート空間に!
日本画家・小泉淳作が「双龍図」を奉納したご縁から、建仁寺にて回顧展を開催中。お寺が小泉ワールドになっているだけでなく、同時開催中の夜間プレミアム拝観、サウンドアートナイトイベントもスゴイ!との噂を聞きつけ、原田年晴が建仁寺へ。内務部長の浅野俊道さんと、イベントをプロデュースしたVIE株式会社の今村泰彦さんに見どころをたくさんお聞きしました。
「原田年晴 かぶりつきサーズデー!フライデー!」
(木曜・金曜 午後2:00~午後4:55)
パーソナリティ:
ラジオ大阪アナウンサー 原田年晴
身近な話題から旬の情報まで、鉄道大好き&旅大好きな原田年晴がお届けする「かぶりつき」で聴いてほしい175分の生放送。新しくスタートした特別企画「展覧会へ行こう」では、原田年晴が美術館ビギナーさんにもわかりやすく見どころを紹介しています。週末はアクティブな気分で、美術館に出かけてみませんか?
お寺の美しい風情と
光に照らされた幻想的な襖絵
原田
お寺の中で開催されている展覧会とあって、普通の美術館とはまた違った風情が感じられますね。目の前には、ハスの絵が描かれた襖絵「蓮池」が展示されているのですが、これまた長〜い!横幅はなんと20mもあるそうですね。
ライトアップされているうえ、中庭を挟んで見られるのでとても幻想的です。
浅野
作者の小泉淳作さんは写実派の画家でして、細かいところまで丁寧に描くことによって、遠くから見たときに本物のハスがあるかのように生き生きとして見えるというのが画風なんです。
中庭の青々としたモミジや苔を間に挟み、お寺ならではの空気感や歴史に包まれて見ることで、いっそう美しさを感じていただけると思います。
原田
なんだかハスが浮かび上がって、立体的に見えるようです!
この作品は東大寺からお借りされたとお聞きしましたが、東大寺とはどんな関係があるのでしょうか?
浅野
それは800年も昔に遡ります。建仁寺を建立した栄西禅師が中国に渡った際、東大寺の重源上人と知り合い、お二人は東大寺の大仏殿を再建するという偉業を成し遂げられました。その頃からのご縁で、この作品をお借りしました。襖絵は全部で40面あり、ここにはそのうちの16面が展示されています。
原田
間近で見たり、お庭を挟んで見たり、さまざまな角度から襖絵を鑑賞できるのが面白い。蝉の声もいいですね〜。
浅野
はい。自然と共にあるのは人間の常ですから、キレイなものを見て心を洗い流してほしいですね。
全45点を一挙公開
名作「しだれ桜」もぜひ見たい!
原田
浅野
小さな作品もあわせて45点。数が多いため、私たちが今いる本坊と、建仁寺の塔頭(たっちゅう)「禅居庵」の2会場にわけて展示しております。初期から晩年までの歩みを回顧する絶好の機会ですので、ぜひ両方に足をお運びいただきたいですね。
本坊には「しだれ桜」という最晩年の大作も展示しています。花びら一枚一枚を丁寧に描き込んで、命を賭して描き上げたと言われているんですよ。
原田
花びらの細かさがすごい!散っている様子も美しくて、胸に迫るものがありますね。
108畳の天井に描かれた日本美術と
デジタルシミュレーションアートの共演
原田
さて、次は「双龍図」を見に法堂(はっとう)にやってまいりました。畳み108畳分もあるという天井いっぱいに、小泉淳作さんによる2匹の龍が描かれていて、すごい迫力です!
浅野
「双龍図」は建仁寺の開創800年を記念して描いていただいた作品で、完成までに2年を要した大作です。
法堂は仏教の教えを説くためのお堂。この天井に龍を描くことで法の雨(仏教の教え)を降らせ、人々が功徳を与えてもらえるようにという願いを込めております。
原田
なるほど。正面にはご本尊様がいらっしゃって、その横にはスクリーンで映像が流し出されていますね。
まるでお釈迦様のいらっしゃるこのお堂に龍が舞い降りてきて、暴れ回っているようです!
浅野
このスクリーンは、今回特別に開催している夜間拝観のものですが、「双龍図」と対をなす形で映像がつくられました。
龍を表現する音も、鼓動を奮い立たせるような迫力があるので、ぜひ聞いていただきたいですね。
枯山水の庭園に雲海が出現!
深い安らぎと幽玄の世界へ
原田
今度は、枯山水のお庭に来ています。青い照明でライトアップされ、ミストが立ち込めています。なんとも神秘的な風景ですね。これをプロデュースされた今村さんにお話をお伺いしましょう。
今村さんはこちらのお寺の方ではないとお聞きしました。
今村
はい。私は脳波を解析して音楽やエンターテイメント、運動などを組み合わせ、治療を行っていこうという会社をやっております。
今回は脳が「ととのう」というテーマで、このサウンドアートナイトイベントを手がけさせていただきました。
照明がもたらす光と影やお庭を見て、「気持ちいい」と五感で感じていただき、日頃のストレスや疲れを解放していただければと思っています。
原田
青いグラデーションに色づいたミストがふわっと広がったり、ミストがはれると元の枯山水に戻ったり…。
このミストは一体なんなのでしょうか?
今村
これはよく駅やお店などに設置されているミストなのですが、お店でいうと10軒分くらいのミストを噴霧しているんです。夏の京都は暑いのですが、ミストで涼しさも体験していただけるんですよ。お水の力で体感温度-5度くらいに感じられるのではないでしょうか。
原田
たしかに、すごく涼しいです!そして、今ミストがあたり一面に漂ってきまして、枯山水のお庭にオーロラのような風景が広がっています。美しいですね〜。
今村
普段、空気や風の流れは見えませんが、夜間にライトを当てることによって風の紋が出てきて、それが非常に幻想的に感じられるんです。
今の時代、デスクワークをされている方が多いと思いますが、「美しいな」「気持ちいいな」と、五感をひらかせるタイミングが少なくなっているのではないかと思います。お寺の空間や風を感じながら五感を刺激して、自分の心の声を聞いていただくことによって、人生をさらに豊かにしていってもらいたいですね。
原田
私もここに10分ほどいますが、非常に癒されております。本当にお寺でよくこんなイベントができましたね。
今村
建仁寺では通常、夜間拝観をされていないのですが、脳科学と禅に共通点を感じていただけたことが大きいですね。脳科学もそうですが、仏教や禅、お寺の空間というものが癒しをくれるのだと思います。
動と静の体験
心穏やかになれた夏の夜でした
原田
今回は、お寺で展覧会やアートイベントをされているということにまず驚きました。小泉淳作さんの絵のすばらしさはもちろん、そこに映像や音が加わったときの迫力!
一方、枯山水ではミストと光が地面や周囲の松の木にさまざまな模様を描き出していて非常に幻想的でした。
日が暮れていくにしたがって見える風景も変化していくので、ちょっと早めに来て時間の経過を楽しむのもいいですね。夏休みのお出かけに、次は妻も連れてきたい!
原田年晴チェック1
小泉淳作ファン必見!
本物の作品も買えます
特設ショップには「双龍図」のTシャツやポスター、サコッシュ、提灯などのグッズが並んでいました。
それだけでなく、小泉淳作画伯の版画や肉筆の作品も!
家で本物の作品を楽しみたい方は要チェックです。
原田年晴チェック2
公式図録は「双龍図」のポスター付き!
作品を買うのはちょっとハードルが高いという方は、小泉淳作展 公式図録(税込3,000円)はいかがでしょう?
こちらは「双龍図」のポスター付き!
ジャバラ式になっていて、すべての展示作品をポストカードのように楽しめます。
※夜間拝観休止日:
8月14日(水)、23日(金)、31日(土)、
9月6日(金)、7日(土)、14日(土)、17日(火)、18日(水)
ART MUSEUM DATA
建仁寺
臨済宗建仁寺派の大本山。建仁2年(1202年)に、将軍・源頼家が寺域を寄進し、宋で禅を学んだ栄西禅師によって開創されました。京都最古の禅寺と言われています。
VIE
脳波を可視化、解析するニューロテクノロジーと音楽などのエンターテイメントによる心地よい刺激を組み合わせ、こころとからだを健康にする製品やサービスを開発。